ヨコシマ

これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音/双極性障害・パニック障害/20190602💍病気ながらも旦那さんが大好きな日記

飲み会のこと

シマヨウコです。
茅ヶ崎のサーファーよろしく躁期の波の気配を感じた私、張り切ってこのビッグウェーブに乗ってやろうとお仕事して会社に戻ったところ「いや、すんごい顔色悪いよ……ちょっと休んできなよ……」とガチトーンで心配されてしまいました。座ってほっぺを触ってみれば、なるほど確かに冷たい。こんなに外は暑くて、汗もかいているのに、どう考えてもこれは血の気がひいています。
くっ……波を見誤ったか…………!
……もうしばらく陸サーファーでいよう。波を甘く見てはいけないのです。

そんなこんなで結婚してから初めての飲み会で昨晩不在だった旦那さん。波を見誤った私はお迎えギリギリの時間に起き、慌ててお迎えに向かったのですが、帰ってくるなりとても上機嫌に「いっぱい自慢してきたよ」と報告され、さすがの私もちょっと動揺してしまいました。
旦那さん、現在職業訓練校に通っておりまして大きな資格試験を一つ終えた今、仲良くなった同期の皆さんとの打ち上げ会だったのですが……既婚者子持ちの奥さんとかも多いわけで……いやいや……???

「な、なんて自慢してきたの……?」
「うちの嫁世界一可愛いですって言った」
「ま、まじですか」
「『人生で一回は言われたい〜!』ってみんな言ってた」
「きょ、恐縮です……」

お、思ったより強烈かつ大幅に脚色されて自慢されている…………!
さすがの私もちょっと慌てます。
私は私のことを事故物件女だと思っているのです。

「そ、それって万が一会う機会があったら『あ〜〜〜……へえ〜〜〜〜〜……シマ(夫)さんの趣味って…………』みたいになるじゃん!」
「いや、写真見せたよ」
「ヒエッッッ時すでにお寿司」
「化粧するときヨウコキリッとなるじゃん?だから『意外とカッコイイね!』って言われてたよ」
「カッコイイ……初めて言われたね……」
「でも身長が140台って言ったら『ミニマム〜〜〜〜〜!!!!!』って返された」
「旦那くんIKKOさんと呑んできたの???」

酔っているとはいえ、いつも感謝を伝え、私のことを褒めちぎってくれるとはいえ、家の中ではカワイイカワイイと溺愛してくれるとはいえ、外ではあまり私のことを紹介したりしたことのない旦那さんがそこまで人前で私のことを話してくれるとはちょっと意外でした。
モニタリングで現場の様子見てたら泣いちゃってたかもしれない。

「旦那くんそんなに私の顔好きなんだね……」
「うん、いつも言ってるじゃん」
「そう……そうだね……」
「ホラ、俺ら両想いだから(?)」
「……まあ、言うて私旦那くんの顔のことはカッコイイと思ってはないんだけどね」
「うお〜〜〜い!」
「でもね、内面の良さが表れてる、すごい良い顔だと思うから、旦那くんの顔は好きだよ」
「……うへへ」

こんなやりとり、多分日本中で私達夫婦かオードリーしかやらないと思います。

ちなみに旦那さんのいない食卓どうしようなどと中綿くたびれクッション女と化し、そのまま帰宅即寝落ちした私は、帰り途中で寄ったコンビニで買ったスイーツ(宇治抹茶ブリュレ)を辛うじて23時に晩御飯と称して摂取するという大変重い十字架を背負うギルティっぷりでした。
旦那さんがいなくなった途端、この食への執念の薄さ。
旦那さんがいなくなってしまったら、多分私は人間性を保っていけないかもしれません。

とはいえ、酒に弱くなく、意識もしっかりしていた旦那さんは家に帰ると安心したのか疲れが出たのか、めちゃくちゃおねむさんモードに。シャワーを浴びたいと訴えるもののあまりに危なかっしいので、着替えを用意し蒸しタオルを用意し、背中を拭いてあげるなどとしました。いつも介護されっぱなしの私が旦那さんを介護する新鮮さ。……時々は悪くないですね。へへへ。



シマヨウコ

ご飯のこと

シマヨウコです。
書きかけの記事をに☆くださった方、ありがとうございました。
こちらが完全版(?)なので、お時間許すならどうか改めてこちらの記事もお楽しみください。

私の旦那さんにはとにかくいいところがたくさんあるのですが、とりわけ素晴らしいところに「食べ物の好き嫌いが少ない」「だいたい何でも美味しい美味しい!今日も美味しい料理をありがとう!と言って食べてくれる」「外食したときにお店の人にもきちんとごちそうさまが言える」という点があります。

これってすごくないですか?

もちろん「そんなの当たり前だけど?」みたいな男性もいらっしゃるかもしれません。けれどもそれってほんとはめちゃくちゃすごいですよ。私はそういう人間が男女問わず大好きだし、そういう人のほうが人生絶対にハッピーに生きられるって思います。
いま「そんなの当たり前だけど?」って思った人、自信を持ってください。あなたにはご飯を食べるとびっきりの才能があります。一緒にご飯を食べるとご飯をより美味しくできる才能の持ち主です。自信を持って好きな異性とご飯を食べに行って、相手をハッピーにしてあげてほしいです。ほんとに。

「ご飯を美味しそうに食べられる」
「美味しいものを美味しいと言える」
「作ってくれた人に感謝をする」

これらは簡単そうで実はとても難しく、実は3Kとかの人間より遥かに実在していないんじゃないかと思っています。少なくとも私が大人になるまでの環境のなかでは、まるで出会ってこなかった、私の人生の価値観の中では半ば空想上の存在に近い、言うならば二次元にしか登場しないというレベルでお目にかかってこなかったタイプの男性です。

九州男児の実父を例に上げると、彼は客と店員という関係性を頑なに振りかざし、若いバイトの学生店員さんに向かってもとても横柄な態度を取ります。タメ口・クレーム当たり前なので、家族で食事に行くときなんかは父親以外、みんなヒヤヒヤハラハラ。ちょっと注文が遅れたりすると強い口調で店員を詰るので、その瞬間、どんなに美味しい料理を口の中に含んでいても脱脂綿でも噛んでいるような気持ちになります。……そんなごはん、当たり前だけど美味しいわけないですよね。

家で母のご飯を食べるときにも絶対に「おいしい」とか「いつも弁当ありがとう」とかそんな言葉も一切言いません。「ごちそうさま」すら言いません。
夫婦ってそんなものなのかしらん……と思いながらも、ある日、誰にも褒められずにご飯を作る母の姿になんとも言えぬせつなさを感じ、それからというもの「今日のこれおいしかったよ!」「私うちの〇〇の味好き〜」などと今日の感想を言うようになりました。その度に母はちょっと嬉しそうに「でしょう?」「今日はちょっとだけ▲▲入れてみた」と、映画『耳をすませば』でコンクリートロードを見せるときの雫ちゃんみたいな表情で答えます。

そうするともうなんかごはんが急にめちゃくちゃ美味しく感じられるんですよ。ほんとに!
別に母の料理の腕が格段に上がったわけでも、高級食材を使ったわけでなくても、ウン万円の圧力鍋で丸一日ことこと煮込んだ料理なんかじゃなくても。

お野菜に「きれいだね」「おいしそうだね」って言いながら育てるとほんとに色艶良い美味しくなるってお話がありますよね。お料理も結局そうなんじゃないかなあ。
食べてくれる人の「美味しそうだね、美味しいね、美味しかったよ、ありがとう、ごちそうさまでした」。その言葉が実は一番食事に大事なのではないかなあと母を通して私は感じたわけです。
還暦も近い母親の学生みたいな、秘密をこっそり教えてくれるみたいな笑顔、そんなのどんなにご飯が特別なメニューじゃなくても楽しくなっちゃいますよね。

旦那さんがそうきちんと躾けられたのか、あるいは本能的にこの素晴らしい才能が備わっていたのか、私のようにふと人生の途中で気がついたからなのか、それはわかりません。

けれども、毎日私のご飯を美味しいと言ってくれて、ご飯が楽しみと言ってくれて、いつも美味しいご飯をありがとうとお皿洗いをしてくれる旦那さんのおかげで、毎日のお料理はとっても楽しいです。

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こんなやつでも、

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こんな手抜きお弁当でも、旦那さんは美味しい美味しい上手にできたねまた作ってねと言ってくれます。
まるで土井善晴先生の味噌汁ような包容力。トマトだって、唐揚げだって、昨日の余り物何だって入れたっていいんよ。彼がどこから土井善晴先生スピリットを継承したのか分かりませんが、本当に有難いです。毎日お料理楽しいもん。土井先生大好きだから、なんか土井先生に褒められたような気持ちになるし。(?)

……と、ここまで旦那さんと食べるごはんの素晴らしさについて語ってまいりましたが、今日は結婚して初めて、旦那さんが飲み会で不在。つまり、私ひとりの晩御飯。
旦那さんのいない食卓に途端にやる気をなくした私は、すっかり基本形の中綿くたびれクッション状態と化しどうにか冷蔵庫の中身をうまく消費できるレシピをクックパッドでスイスイ検索するのでした……。

ご飯を美味しくする天才、早く帰ってこないかなあ。



シマヨウコ

ごめんなさい!

シマヨウコです。
旦那さんのいびきで起きてふとスマホを見たら、書きかけの記事を寝呆けて公開にしてしまっていましたので一度下げました。
久々の晩酌のせいかしらん……見事に酒に呑まれてしまった。シマ、反省。
すでに☆など頂いていた方々、すみません。

明日にはまた、完全版(?)を再掲載しますので、いつもどおり大した内容ではないですが、しばしお待ちくださいませ。
妙な時間の投稿失礼しました。おやすみなさい!

(旦那さんの布団にそっと潜り込む)



シマヨウコ

私が中綿くたびれクッション女なこと

シマヨウコです。
一昨日のあまりのダメダメっぷり(https://w-border.hateblo.jp/entry/2019/06/18/132547)(引用のやりかたがわからない)から、一部始終を見ていた職場の友人より「いきて」というメッセージとともにローソンの500円クーポンがLINEで送られてきました。
カラオケに誘ってくれた友人といい(彼女はたぶん、純粋に自分がカラオケに行きたかっただけだとは思いますが)、旦那さんの他にも私を気にかけ、心配し、大事にしてくれようとする人間がいる。ありがたいことです。

私は今でこそ正社員として働いていますが、22でパニック障害が発症して2年半〜3年ほど、全く働けずにいた時期がありました。
今でもときどきそんな状態になることがあるのですが、眩暈と動悸と脱力感でまったく動けず、まるで中綿のくたびれたクッションのように布団と同化したまま、ご飯はおろかトイレにすら行けず一日を終える……そんな生活が半年くらい続きました。少しずつ少しずつ、外に出て買い物を楽しんだり、おいしいものを食べてみたり、遠出をしたり、趣味を楽しんだり、一泊旅行をしてみたり、ボランティア活動のようなことに挑戦してみたり、リハビリをしてきました。
幸い、溜まっていた有給を使い切って会社を辞める直前まで出社せずともお給金を頂くことができ、仕事をやめてからも傷病手当金と少しだけの貯金があったので、なんとか家も失わず、文明の恩恵を受けながら生き延びることができました。

周囲の理解があったことも、とても有難かったです。家族・恋人・友人・親族・社会で当たり前に働くことのできる人から受け容れられず、余計に鬱を酷くしてしまった友人が、私の周りにもたくさんいます。

「社会にも家にも居場所がない」
「調子が良かったので〇〇をしてみた。〇〇ができるのにどうして▲▲はできないの、〇〇がができるんならサボらず毎日やってよね、と親に言われた。私にとっては、小さな達成だったのに」

SNSで、あるいは対面でそういう話を聞くと、私はもう悔しくて腹が立ってしょうがなくなります。私は双極性障害であるのからなのか、はたまた元来の性質であるのか定かではないのですが、とにかく根気がなく、飽きっぽく自由気まま気まぐれ女です。どんなに自分が鬱っぽく、自分のことではズベズベのベロベロ・中綿くたびれクッション女になっていたとしてと、ひとたび友人の楽しい話を聞けば泣いて喜び、悲しい話を聞けば話した相手が半ばひくレベルで怒り狂う、ティファールのような沸点のテンションの人間と化します。
みんなはこの理不尽であまりに思いやりと想像力に欠けたこの言動に、怒ったり悔しがったりするエネルギーも自己肯定感もすり減り切っているから。だから私が怒ります。
もうめちゃくちゃに人の親のことをボロクソに言いいますし、彼氏だったら「別れろ別れろ別れろ別れろそんな男!!!!!ろくなやつじゃねーぞ!!!!!」と思春期の娘の父親のようなテンションになります。全くのシラフで。

そう、私はさながらバーサーカー

結局正社員になってから、躁期と鬱期を繰り返しながらも最終的には鳴きまくったあとキレ散らかし、同期に不幸があればキレ散らかし、逆にいいことあれば私もゴキゲンで一日を終えます。

これは共感性が高いといえるのか。
むしろ、私の病名は双極性障害ではなく、異常なまでの共感性の高さからくる、過度共感性自我確立障害みたいなやつではないのか。そんな病気があったりしないか。

人が辛い思いをして泣いていたり、理不尽に恥ずかしい思いをしたり、辛いニュースがあるとその日一日体調が悪かったり、心が重かったりします。一方で、ハッピーやラッキーを見つけるのが上手ないわゆるアゲ人間と一緒にいるととても精神が安定します。
中綿くたびれぐだぐだクッション女の私。心の洗濯が上手な人間と相性がいいのは、考えてみれば至極当たり前なのかもしれません。



シマヨウコ

鬱期明け仕事のこと

シマヨウコです。
年度始からやたらイケイケムードで仕事も前倒し進行良好、4月末ちょっと調子悪い日あれどまあ回復も早く、健やかな5月、そして入籍の6月を迎えていた私ですが、ここまでお読みのみなさんはお察しの通り、見事に調子乗りまくり躁期患者の典型パターン。
躁期があって、鬱期がある。反動があるから病気なのです。元気な人はずっとそこそこに元気なんだもんね。急に狂人みたいに元気になったり、かと思えば人間生活もままならなくなったりしませんもんね。うんうん。

というわけで、先週・先々週とそりゃあもうひどい落ち込みの波が私を襲いました。梅雨も追い打ちをかけるかたちで、この地球はそんなに私に人間をやめさせたいのかと梅雨前線に恨みを募らせながら、仕事に行っては朝礼前にダウンしては帰り、そもそも仕事に行くことすらままならず、挙句社外研修で体調を崩しありとあらゆる人に迷惑をかけながら家まで送ってもらう始末。
人間スレスレの生活を送りながら「強くなりたい……力がほしい……」と布団の中で唇を噛みました。

今週に入って大分気分の落ち込みも落ち着き、先週分の遅れを取り戻そうと張り切って出社したのですが、先週分の書類処理、自分の結婚に関する諸々の手続き、間に合わせなければいけない最低仕事量の業務、エトセトラ、エトセトラ。
どれもこれも入社4ヶ月の私ひとりで手に終えるものではなく、上司を捕まえ分からないところを訊き、そうこうしていたら他の人の仕事まで進まなくなる地獄の連鎖。
「○時までに報告してね」も見事に忘れ、注意され、迷惑をかけてはいけないと怒られ(そりゃそうです)、私は私で報連相ができない人間がめちゃくちゃ嫌いなので、自らがその社会規範を乱す人間になってしまったという自己嫌悪の大波にあっという間に呑み込まれ。
せめて人は他人に迷惑をかけないような整理整頓でもしようと気を利かせようとすれば、下っ端が手を出していい場所ではなかったらしく、ひたすら怒られました。もうめちゃくちゃ怒られました。なんで勝手にそんなことするのって言われました。

だ"っ"て"、な"に"も"で"き"な"い"か"ら"あ"……!!!!!!!!!!!!!

やることなすことすべて裏目に出た就業後、泣きながら運転して向かったメンタルクリニックでその日のことを全部お話しました。先生は笑いながら「それはね〜、がんばりすぎてるんですよ」と言いました。「もっとそこそこでやらないと」。
いやいや、そこそこも何も仕事には期限が決まっているし、それを破れば他人に迷惑がかかります。上司も心配はしてくれるけれど仕事に対する圧にはなかなかのものがあります。それを無視して仕事を頑張らないということは、仕事が仕事にならないということです。
「私は、私という人間は、これぐらいかこれ以上無理をしないと普通の社会の中で生きていけない、まともな安定した職に就けない人間だと思っています。だから、頑張らなければお金も稼げないし、生活もしていけないと思います」
そう伝えると先生はこうおっしゃいました。

「いやあ、でもみんなそこを上手くやって生活してるんだよ」

なるほど。
つまり、パニック障害双極性障害を抱えながら週5日・9:00〜17:00のオフィスワークを続けることにこの上ない体力・精神の消耗を強いられているのは、私が上手くできていないからというわけです。
病気あるからではなく、ましてそれがひどいからでもなく、私が私の生活を上手くコントロールできず、ひとりで空回り、周囲に迷惑をかけ、自らの自己肯定感を下げては酷い鬱期を自分で作り出しているだけ。そういうことになります。
だって、みんな上手くやっているというのです。
「上手くやっているというのは、どんな職業の方なんですか?」
往生際悪く私は聞きました。「会社員とか、公務員とか、学校の先生とか。みなさん働いてらっしゃいますよ」。
しがない営業職の私。休憩しようと思えば就業中にいくらでも時間の調整はできます。そんな私より遥かに拘束性の高い職業の方々が『上手くやって』『みなさんちゃんと働いてらっしゃる』。

すごい絶望感でした。
私が仕事ができないのは病気のせいではなく、ただただ私のせい。私がうまくできていないせい。
それを突きつけられてしまいました。

帰ると、旦那さんは大好きなゲームのためにWi-Fiの設定をしていました。けれどもすぐに私の死にそうなオーラに気がついたのか手を止めて、その両手をLANケーブルから私の背中に回してくれました。

私は泣きながら今日あったことを全部話しました。仕事がことごとくできなかったこと。みんなに迷惑をかけたこと。病院で受けた診断結果が「もっと上手くやりなさい」だったこと。
全部が全部ほんとにつらくて、一週間ぶりに仕事に行けた自分を全く褒めてあげられなくて悲しくて、つらいこと。
もちろん、誰も自分の頑張りを認めてくれないこと。

旦那さんは全部全部話を聞いて、私の頑張ったけれど駄目だったことをひとつひとつ、フォローしたり、つらかったねと受け入れてくれたり、ほめてくれたりしました。
他人のマイナスな感情のためにこんなに心を砕いて言葉を尽くすことは、たいへん消耗する行為だと思います。けれども旦那さんは大好きなゲームの設定よりも私の話をしっかりと聞いてくれる。
すごくすごくつらくて悲しかったけれど、それだけで本当に救われました。

鬱期が来て、梅雨が来て、溜まっている仕事が私を追い立て、世界のありとあらゆるものに嫌われている気がしていた私は、旦那さんの1時間をもらえるだけでまた生きていける。単純だけどそう思えました。

ちなみに、その後友人から「カラオケ行きてー」とこの上なくシンプルなLINEが届き、三人でしこたま歌いまくってきました。帰り際は眠たくてよろよろでお肌のお手入れどころか髪も乾かさず眠りについたのですが、旦那さんの1時間と同じくらい元気が出ました。
ほんと、バカ素直で根気がなくて、楽しいことが大好きな女なのです。本来の私は。



シマヨウコ

お布団のこと

シマヨウコです。
私たちはいま、シングルの布団を並べて寝ています。それは私(さむがり)と旦那さん(あつがり)の体感温度の差があまりに著しいということであったり、シングルで寝るには旦那さんの身体はややおおきすぎるということに起因するのですが、ほんとはダブルのお布団を買って一緒のお布団で寝たい。

だって朝起きたら絶対どっちかのお布団に寄ってくっついて寝てるもん。お布団一個余っちゃってるもん。空っぽの私のお布団に猫の抱き枕だけがマツエクでもしてるのか?ってくるりんまつ毛を閉じてスヤスヤしてるだけだもん。

そう考えだしたらお布団を毎晩毎朝わざわざ二セット押し入れの上の段に出し入れするのもなんだか手間な気がします。私の身長は平均よりも低いので、押入れといえどちょっとした苦労なのです。そんな苦労、できれば二回より一回がいい。
結婚のときの役場回りで嫌ほど思い知ったものです。

『ヨウコよ、ゆうびんぶつを てんそうするなら めんきょしょうを かえねばならぬ。けいさつしょへ むかうのじゃ』
『ヨウコよ、めんきょしょうを かえるには じゅうみんひょうが たりぬぞい。しやくしょへ むかうのじゃ』
『よくきたなヨウコよ。これが じゅうみんひょうじゃ。ところで このまちに ひっこしてくると ポイントがあってな……』
『しゃいんの ヨウコよ、こうきょうの てつづきは おわったか。つぎは かいしゃの てつづきじゃ。まずは しやくしょで じゅうみんひょうをとってきてもらうぞい。あと つうきんてあてのこととか しゃいんしょうの かいせいとかについては セルフでシクヨロじゃぞ☆』

う、うるせーーー!!知らねーーーー!!!!!!
引っ越そうが名字が変わろうが俺は俺だ〜〜〜〜〜!!!!!!!!

とにかく根気というものがないのです私は。
下調べというものもてんで苦手ですし、そのくせ何より嫌いなのが「二度手間」。

お布団問題はいまや、私の中でちょっとした二度手間の苦痛となろうとしています。たかがお布団、されどお布団。毎日積み重ねればそれなりにストレスとなるのです。たとえその問題ひとつが高級羽毛布団のような軽さであったとしても。

そこでダブルのお布団です。

二人分が一セットでカバーできる!最初からくっついて寝る口実ができる!掛布団は……まあ……別々のものを使うとしても……(体感温度の差のため)それでも圧倒的に重い敷布団が一枚減るというメリットはあります。

さっそく私は旦那さんにバカ素直に打診をします。
「あのお、お布団をですね、ダブルにしたいんですけどお……」
「いいけど、俺途中で同じ布団に入ってきたらさすがにヨウコ起きない?」
「!」
「今までは別の布団だったから問題なかったけどさ」
「……た、たしかに…………」

私たち夫婦、夫婦仲は良好、布団もお隣同士、朝起きたらどこかしらが接触しているという、傍から見ればそりゃあもうバカ新婚の代表のような新婚なのですが、ひとつ、どうしても相容れないところがございました。

睡眠時間です。

私はとにかく虚弱体質、無理をしたらダイレクトに次の日に響き、徹夜もその例外ではありません。睡眠浅めのロングスリーパー、週に2回ほどは8時間しっかり寝たい。睡眠不足は眩暈と動悸、注意力散漫といったかたちで私を蝕み、わたしの人間性を奪っていきます。
一方旦那さんは基本的に健康体で宵っぱり体質。最大の趣味はゲームで、学生時代にはPCエロゲ、社会人になってからは仕事終わりからゲーセンで音ゲー三昧、今はオンライン通話をしながら深夜遅くまでPS4に向かっています。彼は睡眠優良児のショートスリーパー、長く寝るほうが気分悪くなるんだよなあなどと信じられないことを宣うのです。

つまり、今私たち夫婦の夜は、
23:00 ヨウコ就寝
26:00 旦那さん就寝
7:00 二人揃って起床
こんなかんじなのです。
新婚にあるまじき時間差就寝。最初からくっついて寝るどころか、私なんかは一人っきりで寝ているのです。あとから旦那が眠りの浅い私を起こさないようにそ〜っと隣の布団に潜り込み、野生動物に対するムツゴロウ先生のようにじわりじわりと距離を詰め、朝のシングル布団に二人で寝ているという状態になっているだけなのです。

こうなってくるとダブル布団にするにも問題点が出てきます。
実に悩ましいところです。
夏までに決着を着けたいところですが、暑がりな旦那が夏にくっついて寝ることをよしとするか……勝率は低そうな気がします。
こうして私のシングルダブル議会はまた侃々諤々の体をなし、最終的には疲れ果て、ゲームをする旦那さんにおやすみを告げてひとりでシングル布団に身を預けるのでありました。



シマヨウコ

「あ、旦那です」のこと

シマヨウコです。
私と旦那さんは同い年。更に言えば同じ高校、同じ中学、同じ小学校……いわゆる幼馴染という関係です。小学校の制服の短パンからトランクスがはみだしていたことも、中学時代の校則で丸坊主だったことも(全然似合ってなかった)、高校時代つるんでいたのが少しガラの悪い仲間たちで周囲に乗っかった結果補導&自宅謹慎を食らったことも全部知っていますし、あちらも私の黒歴史を数多く抱えていることと思います。
そんな、いわば手の内を明かし尽くした私たちがまさか出会って20年も経ってから男女としての交際をスタートさせ、結婚し、お互いに「ヨウコはかわいいな〜〜〜!!!なんでそんなにかわいいの?」「旦那くん髪切ったね!もう五割増しくらいでかっこいいよ!すき!!!」などと言う会話を日常的に行う夫婦となるとは私も彼も欠片も思っていませんでした。もっとも、周囲は「やっとか!」「ようやくそこで落ち着いたか」という反応ばかりだったので、気がついていなかったのは当人たちだけということのようです。
友人というのは時として本人より真理を見ているものですね。

それはそれとして、この通り歩いてきたルートが成人するまで殆ど一緒のため、とにかく共通の知り合いというのがとても多いです。
小学生のころからお義母さんのことは存じ上げていますし、弟妹も同級生だったり同じ部活だったりと何かと面識があります。友人関係だって通っていた学校が同じなのでそりゃあだいたい同じだし(そもそも田舎で人口自体が多くないのです)、友人のお母さん同士のネットワークはほんと恐ろしい拡散力を持っているし、もちろん恩師だってだいたい同じ。

今日は機会があって高校時代の恩師に会って、改めて結婚の報告をしたのですが、もうなんかとにかく気恥ずかしい!!!!!!
若かりし頃を知られていることも恥ずかしいし、その当時それぞれ別の人間と付き合っていたことも恐らく知られているし、半端に近い身内感は却って気恥ずかしさを3倍くらいにしてきます。こうかはばつぐん、ひんしじょうたいです。

けれどもどうしても、旦那さんを『旦那さん』として紹介したいんですよね。

私の旦那さんだぞ!ちょっとおっきくて決してイケメンってわけではないけど、優しくて気が利いて、いつも穏やかににこにこしてて、子どもとお掃除が好きで、隣にいると私がこんなふにゃふにゃな顔になっちゃうくらい私にとって頼りがいのある素敵な人なんだぞ!って、ほんとは自慢したいくらい。

元々私のほうが地元に長くいて、仕事の関係のつながりなんかもあり、知り合いが多いのですが、旦那さんと一緒にいるときにたまたま知り合いに会えば必ず旦那さんの紹介をします。

私なりに、旦那さんに、知り合いに「この人と一緒にいれて嬉しいんです」って雰囲気が伝わるようにしています。せっかく「おめでとう」って言ってもらえることなんだから、こちらも恥ずかしがったり、誤魔化したりせずきちんと祝われないと失礼かな……と思うので。

まあ何より、他の人に紹介したあと、社会性があるくせに少々内弁慶の気がある旦那さんはちょうどいいサイズ感の私をぎゅうぎゅう抱きしめて思う存分撫でくり回すという変なルーティンがあるので(照れ隠し?あまり外でデレデレするなってことかもしれない)、それを一番の役得として、これからも大好きな旦那さんのことを「私の旦那さん」として紹介していきたいと思いながら旦那さんのAカップはあるだろうおっぱい(平熱が高いのでとてもあったかくて気持ちがいい)に顔を埋める幸せを享受するするのでした。



シマヨウコ