ヨコシマ

これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音/双極性障害・パニック障害/20190602💍病気ながらも旦那さんが大好きな日記

お裾分けのこと

シマヨウコです。
雨は大丈夫でしたか?
被災地域にお住まいの皆様の安寧と復興を願います。

先日のお仕事帰り、偶然アパートの駐車場でお隣さんファミリーとばったり。引っ越しのご挨拶以来、なかなかお話できずにいたので、私は勇んで声を欠けました。

「こんにちは、お仕事お疲れさまです〜」
「こんにちは〜。……うち、いつもうるさくってすみません。ご迷惑かけて……」
「いやいやいやいや全然!元気でかわいいですね、おいくつですか?……」

すごい。すごいぞ私。なんかとっても主婦同士みたいな会話ができています。お嫁さんとして生後20日程度の割にすごくいい感じに主婦みたいでは?!
以前からお隣さんと交流を持ちたかった私は内心めちゃくちゃテンション上がってしまいました。

何を隠そう私、めちゃくちゃ子どもが好きです。若い頃からの強めの結婚願望も8割ここに起因するんですが、友人に子供が生まれ始めた昨今は友人の子供にいかに尽くすかということに生きがいを感じていたりします。忘れられないよう定期的に会い、会うたびに全力で遊び、時には好きな食べ物を貢ぎ……もはや第三のおばあちゃんです。
そしてお母さんとお話する普段見かけない人間に興味津々のお隣の幼子兄妹。
「このひとだあれ〜?」
「おとなりさんだよ〜」
「こんにちは〜」
「ここ(私達の部屋)にいるの?」
「そうだよ〜」
「またね〜」
「ばいば〜い」
まだ人見知りでやや表情の硬い子どもたちが手を振るドアの向こうに消えたとき、私は強く思いました。

あの子たちに 何 か してあげたい!!!!!

変な意味ではなく笑。
咄嗟に冷蔵庫の中に入っているスイカの存在を思い出しました。ふたり暮らしにはあまりに多い、大玉のスイカが半分。義母からもらったものの、普通にスイカは好きといえども流石に二人じゃ食べきれないねと旦那と持て余していたスイカ
これを、あの子たちに渡してみてはどうだろうか。

いや流石に気持ち悪がられるかな……不審がられるかな……。でもちゃんと引っ越したばかりのときにご挨拶もしたし、さっきも顔は覚えてもらってたし!私のお弁当バッグ(ミスドポケモンがコラボしているトートバッグ)にも「あ、ピカチュウ!かわいいですね、ゼニガメとかもいる〜なつかしい〜〜〜」と話しかけてくれたし!!!

私は子どもたちに顔を覚えて貰いたいし!!!!!!(本音)

即座に冷蔵庫からスイカを取り出し、半分とはいえまな板からはみ出す大きさのそれを3分の2くらいに切り分け、ラップしてビニール袋にイン。

すぐさまピンポンを押しにお隣さんへ。先程別れたばかりの女にお隣さんは何かあったのかという顔でドアを開けましたが、事情を説明すると快く受け取ってくれました。幸いお子さんたちもスイカ好きだったらしく、
「ありがとうございます〜!ほら、スイカもらったよ!」
「スイカ!スイカ!」
上の子はボディビルダーみたいなポーズ(たぶんガッツポーズです)でピョンピョン跳んで喜び、下の子はちっちゃいおててで「すいか!」と拍手。

その姿を見て、私は確信しました。

(私……いま世界で一番有意義にスイカを使ったな……!)

上半期一番のドヤ顔だったと思います。
後日ばったり会うと、お隣さんは「スイカありがとうございました、おいしかったです」とにっこり。上のお子さんもちょっと覚えてくれたのか、「スイカ美味しかった?」と訊ねるとちょっとだけ頷いてくれました。

あ〜〜〜!!!スイカがウチにあって、よかった〜!!!!!(女に生まれてよかった〜!のテンション)

アパート内交流にもこれまでの人生で縁がなかったため密かに憧れていた私。
果たしてこれからお隣さんといいかんじに仲良くなれるのか?! 今から自然にお隣さんの子供の名前を訊くにはどうしたらいいのか?! そもそも本当に不審がられていないのか?!?!?! アパート内交流経験値が極めて低いため全く分かりません。
過剰に干渉したいわけでもないけど、せめてこの間みたいにばったり会ったとき手を振ってもらえるくらいの存在にはランクアップしたい……などと思いましたが、名前も知らない相手に手を振ってくれる人間なんて芸能人か選挙カーの人々、あとは皇室の皆様くらいしか思いつきません。

近所の子供に皇室並みの神待遇を求めてしまう……なんて欲深い自分……。七夕の空に不労所得を願ってしまう邪な大人……。

至るところに飾られた七夕飾りの短冊には「かわいいおんなのこになれますように」「かけっこがはやくなりますように」「あたまがよくなりますように」……。あの頃にはもう戻れないのです。

そんなセンチメンタル哀しみの七夕ですが、今日のところの一番のお願いはやっぱり、明日の夜が晴れになって、みんなの願いが叶いますように、でしょうか。
ヨコシマなブログでもこれくらいの綺麗事は言ってもいいかな。



シマヨウコ

上半期のこと

今週のお題「2019年上半期」



シマヨウコです。
7月2日で結婚一ヶ月だったのに、めちゃくちゃ結婚(式)に対してマイナスなことばかりを書いてしまいました。
シマ、反省。

あっという間で結婚一ヶ月でした。
早いような、そうでないような。

旦那さんに聞いたら「まだこの間引っ越したみたいな気がする(※引っ越し自体は5月)」と言いますし、私は私で「旦那さんともう半年くらい一緒に暮らしてる気分」です。

旦那さんは引っ越しがとにかく大変だったことが思い出に残っているみたいで、元のお家を完全に引き払うため、元々住んでいた家族が置いていった大量の不要物をゴミ袋20袋以上も捨て、立派な洋服ダンスやクローゼット、食器棚なんかの大物を持ってきてくれたので、そりゃあ大変だったと思います。
それからもちょくちょく不器用かつ非力な私に代わって棚とかテーブルとかイスとか三段ボックスとか作ってもらったりしましたしね。
旦那さんにとっては、このふた月でようやく住環境が整ったという感覚なのでしょう。

一方の私はというと、もうほんとこの新居に馴染んでいます。馴染みまくっています。中綿くたびれクッション状態のときなんかいつもソファにおいてあるジャック・スケリントンのクッションの隣にいても違和感ないくらいです。
自分たちの選んだ好きな家具に囲まれて、旦那さんと私の過ごしやすいようにある程度形の整ってきたお家は最高に快適。何より旦那さんと過ごすにあたって、生活面での擦り合わせがとても楽だったのが一番の要因かと思います。
就寝時間のズレこそ大きいですが、お風呂は溜めるか溜めないかとか、お布団はどれくらいの頻度で外干しするかとか、洗濯機はどれくらいのペースで回すかとか、お互いの得意な家事・苦手な家事とか、食べ物の好き嫌いとか、何を勿体無い・贅沢だと思うかとか、お互いの趣味をどう受け入れるかとか、家計の管理をどうするかとか、とか、とか。
そういう、他人と生活するにあたってきちんと話し合っていかなくてはならないところが、普通に生活しているだけでなんとなく定まっていっているし、そうでなければきちんと話し合って「こうしてみよう」という生産的な話ができます。もともとの価値観が近いというのもあると思います。

私は昔から結婚願望が強かった割にとにかく結婚に向かない男とばかり付き合ってきているのですが、それにしても旦那さんは、なんというのでしょうか、私が歴代に付き合ってきた人たちはもちろん、普通の人より生活力?社会性?適応能力?そういうものにすごく長けていると思います。

私は基本的なところでは大雑把ですが、例えば対人関係なんかにおいてはなかなか偏屈なタイプだと思います。メンタルの病名だってついてしまっているし。
そんな私と結婚し、一緒に暮らし、なおかつ私の機嫌を上げる術を日に日にマスターしていっている旦那さん。
「私といるの疲れない?」
私自身が私といるのに疲れた先週の金曜、ふとそう聞くと、旦那さんはキョトンとしていました。
「別に。ヨウコがいっぱい喋ってくれるからおれは楽しいよ。メンタルのアップダウンは……生きにくそうだからもっと適当に生きていいと思うけど、そこまで他人のことを考えられることもすごいことだから……まあ自分のしんどくない程度にやっていってほしいなって。やっぱ笑っててほしいし」

…………神?仏?菩薩???

いいんですか、いいんですか、こんなできた人間が旦那さんでいいんですか。いいんですよ、いいんですよ、あなたが望んだ人ならば。by、RADWIMPS

え〜〜〜〜〜〜〜〜…………………………めっちゃ好き……………………………………………………。

ありがとう旦那さん。
パニック障害双極性障害でなかなか社会で生きていけない私は、旦那さんの言う「世界一かわいい嫁」のおかげで「世界一かわいい嫁」でいられます。

上半期というか、ここふた月の振り返りみたいになったし、結局振り返りというか……というかんじですが。
これからも旦那さんにとって世界一かわいい嫁でいたいと思います。



シマヨウコ

結婚式のこと

シマヨウコです。

今月(もう先月ですね!)入籍した私たちですが、私たち当人同士の気持ちとしては結婚式は挙げない、結納もしない、幼馴染で親兄弟も知らない相手同士ではないのでお食事会だけで籍だけ入れる、という質素婚のつもりで、実親にも義親にもそれを伝え、了承してもらい、万事問題なく結婚に至りました。

……そのときは。

後日、母伝いに「お父さんが実は結婚式挙げて欲しがってるの……」と聞かされ、私は「イヤイヤいいって言ったやん!九州男児で古風でわりかし礼儀作法とか世間の目とか気にするタイプだから、特に念入りに『ほんとにしなくていいの??』ってわざわざ念まで押したやん!!!!!」と大激怒。
「お父さんはお父さんで、そのときはそれでいいって思ったんだろうけど、あとからさみしくなっちゃったみたいで……」
とまあそれもそう言われるとウーーーンみたいな返答。わからんくもない……けど……当初確認した私たちの意向は……?????

結局こちら側の親戚(母方の六姉妹は非常に仲が良く未だにお正月には実家に集まるほどなのです)への顔合わせとして、食事会をするということで妥協。
そしたらあれよあれよと晴れ姿を見せたほうがいい、ウエディングドレスくらいは着るべきだ、ちゃんとしたホテルでやるべきだ、私がウエディングドレスなら旦那さんもタキシードだ、引き菓子は引き出物は、進行は、ドレスだけでなく髪型は、髪飾りは、……。

も、もうこんなのほぼほぼ披露宴じゃないですか〜!
やだ〜〜〜!!!!!

私の中で結婚式をやらなくてもいいなあと思っていた理由が3つあります。
 ①私に結婚式願望がない
 ②お金がない
 ③ストレスを抱えたくない
なんだかんだありますが、一番は③なのです。元々ストレスに弱く体調にダイレクトに響く上、メンタル持ち、転職したばかりな上仕事内容にもストレスは多く、4月から病名が増え、その上今まで恋人だったとはいえ他人だった人間との新しい生活。それに加えて元々やらないはずだったなんちゃって披露宴の打ち合わせの数々。おまけに梅雨。
もうこんなのストレスのクインテットです。私の中で宮川彬良が激しくピアノを弾き鳴らし、いい声の人形たちが歌い踊っています。曲目は『魔王』。地獄のNHKです。もうなんかそんな気分。

以前少しお話したのですが、とにかく予定変更による計画の立て直しということが極端に苦手で(https://w-border.hateblo.jp/entry/2019/06/24/071628)、酷いときは癇癪を起こしたようになってしまうものですから、打ち合わせというのは壮絶にストレスです。しかもホテルの人だけでなく、衣装屋さん、美容室さん、母親、やってほしいといった張本人なのに無関係の体を貫いている父親、事の展開に戸惑っている旦那さん(それはそうだと思います。私だって自分ちは何もなくて、相手の家はホテルでドレスで食事とか言われたら面食らいます)、そのすべてと話をし、意図を汲み、こちらの要望(やらされているだけなので特にない)を伝え、すりあわせ、周囲の意見に振り回され、土日が潰れる。

もうめちゃくちゃにストレスです。

こんなんだったらいっそ自分たちで結婚式やりますって言えばよかった。やらされるだけのなんちゃって披露宴なんて、苦痛でしかありません。

幸い前述の通り親戚仲はとてもいいので(みんなに晴れ姿を見せればきっと喜んで祝福してくれるだろう、みんなその姿を見たがっているに違いない、親戚内で末っ子の私を今までかわいがってくれたみんなに巣立ちの喜んでほしい!)という周囲へのサービス精神・持ち前のエンターテイメント精神でなんとかモチベーションを保っていますが、ふとしたときに正気に戻ってしまいます。
私は……私は一体何を……何の為に生き……どこから来て……どこへ向かうのか……。ゴーギャンの名画みたいになってしまいなから、旦那さんがゲームをする傍ら、ひとりの布団で途方もない哲学を感じる私なのでした。



シマヨウコ

お布団のこと・その後

シマヨウコです。
お布団問題(→https://w-border.hateblo.jp/entry/2019/06/17/175532)で梅雨空のごとく暗雲立ち込める我が家(※そこまでの問題ではない)でしたが、7月を目前にし、一つの答えが出そうです。

 無 理 ! 笑

暑がりの旦那さん、最近少し蒸し暑くなり寝苦しくなると寝相が凄まじく……笑!起きるたびにポーズも場所も違うので、スナップ写真風にでも撮影して記録したいくらいです。
蒸し暑い九州の夏、早くも扇風機だけでは厳しいのでしょう。寝苦しいから寝言が多くなるのかしらん。(→https://w-border.hateblo.jp/entry/2019/06/26/073303
今日の寝言は「早く俺がお手洗い行けばいいな〜って思ったでしょ?今いくよ(スヤァ)」でした。ちなみにこの時、旦那さんの目が半分空いていたので私はてっきり起きてトイレに行くものだと思い、激しく動揺しました。本人は完全に記憶がなかったようなので、本当に寝ていたようです。目は半分開いてたけど。

ていうか(他人が早くお手洗いに行けばいいな)と考える状況って一体何なのでしょう。部屋に後ろめたいものがあるときとか?クローゼットの中に浮気相手が隠れているとか?更にそれを相手に見破られるシチュエーションってどんなときがあるのか。スマートにお会計したいときとか?
……あまり人生で感じたことがない感情です。

夜型の旦那さんは本当に毎日1時とか2時にお布団に入ります。さらにそこから一時間くらいスマホをいじってようやく寝ます。それで私と同じ時間に起きて、自転車で駅まで向かうのです。
11時には眠たくなってしまい、毎日車通勤の私からしたら考えられない強靭さです。

羨ましい。
それなのにいつも10時か11時くらいには「布団敷いとくね」といそいそと寝室に向かい、二人分のお布団を敷きたがります。
たぶん、早く私を寝かしつけて趣味のゲームを誰に気兼ねすることなくやりたいのだと思います。まだまだ新婚真っ只中なのにひどい。
仮にも私は新妻です。妻になっていつまで新妻を名乗っていいのか、ちょっとわかりませんが新妻には新妻の期間があるはずです。だって『新』妻だもん。そのうちただの妻になるもん。それなのにこのレアリティの低さ。新妻のブランド力はどこに消えてしまったのか。もはやこれは二歳児とかと同じ扱いです。ちょうど友人が「最近二歳の子供の夜泣きがひどくて趣味の時間どころか睡眠時間も取れなくて……」という話をしていました。なんかそれに近しいものを感じます。ひどい。限りある新妻なのに。

まあ、まんまと思惑に嵌って(あげて)「布団敷いてくれたの?!ありがと〜!」とか言って寝るんですけど。
上下運動普通に目眩してしんどいから、お布団敷いてくれるの有難いです。旦那さんがゲームを大好きで私を早く寝かしつけたいのなら、喜んで早く寝てやろうじゃありませんか。だって、私も眠いししんどいしきついし寝たい。これは変な意地を張ってもしょうがないのです。

彼は私が寝ているから気兼ねすることなくゲームをする、私は何より私の体調のために早く寝る。完全にWin-Winの関係です。
たとえそれが二歳児の扱いと同じだとしても。

迫りくる鬱期の気配と梅雨・台風・低気圧。
躁期でバリバリ仕事して楽しい私ですが、こらもまた躁期特有の注意力過多・逆に注意力散漫で職場でも家事もイマイチ空回り……。

こんなの、寝るしかないではありませんか。

さらにもうひとつストレスの種があるのですが、それはまた追々。



シマヨウコ

我が家に屋敷しもべ妖精がやってきたこと

シマヨウコです。
先日の旦那さん寝起きの「さみしかったね」「おれのスピードが……」発言(詳しくは→https://w-border.hateblo.jp/entry/2019/06/26/073303)、起きてからすぐどんな夢だったのか尋ねたのですが、もう既に旦那さんの記憶からも完全に消えてしまった、本当に幻のような夢だったようです……。
こちらは「スピード……?!ワイルドスピードとかマッドマックスみたいな夢でも見たのか?!?!?」と内心ワクワクしながら妄想を膨らませていたというのに。
誠に遺憾です。

私は妄想が大好きです。
小さい頃から本が大好きないわゆる文学少女。小学生のときは福永令三先生の『クレヨン王国』シリーズをこよなく愛し、中学生になれば児童書だけでなく一般書にも手を出し時代小説にハマり、高校生時代は夏目漱石太宰治宮沢賢治夢野久作など近代文学に傾倒しました。
得意科目は国語と英語、好きな宿題は作文と読書感想文、暇なときには趣味のボードゲームの他、太宰治の『人間失格』が好きな友達と作中に出てくる『シノニム(同義語)アントニム(対義語)当てゲーム』などを嗜んだりするめちゃくちゃの文系女です。(これどれだけの人に通じるんだ?!)

とにもかくにも妄想が好きです。
まあその結果(?)がこの過剰すぎて若干生きづらい共感性のもとなのかなあとも思います。

この間、自分の父親より年上であろうほぼおじいちゃんの営業マンが我が家のドアを叩きました。日曜の昼下がり。ほんとならきっと可愛い盛りのお孫ちゃんなんかと遊んでいる、そんなときではないのか。開けて話を聞くと某置くだけ薬箱の営業さん。
「置くのにお金は要りません」「使ったぶんだけ、普通のお店よりお安く交換に来ます」
もちろん知っています。実家にもあります。だけども引っ越したばかりの私たち、一通りの常備薬はすでに揃えていました。
「一通りあるので……」
「置くだけでいいんです」「使わなければお金もかかりません」「近所の薬局で買うより安いですよ」
引かないおじいちゃん営業。
「実家にも、前住んでたところにも置いてたので仕組みは分かってます。でもいらないんです。本当に、いま一通りあるので」
するとおじいちゃん営業の様子が一変。

「お願いします。置くだけなんです」「ノルマがあって今日も日曜なのに回ってるんですよ」「今日は暑いですね。熱中症にになりそうなくらいです」「まだまだ回らないといけないんですよ」

まさかの同情買いの泣き落とし作戦。

こんなの普通の人だったら余計引いてお終いですよね。ただ、妄想力の高い私は勝手にさきほど妄想した、本当は今日遊びに来るはずだったかわいい孫と遊ぶおじいちゃん営業の姿を割と鮮明に脳内に描いていました。
父親より年上だろう年齢で、六月だというのにクソ暑い中歩き回り、自分の娘よりも若いだろう小娘にこんなに必死に頭を下げて……そんなに生活が困窮しているのかしらんとおじいちゃん営業の家庭に思いを馳せました。
うちの父は高校卒業からずっと今の会社に勤め続けた仕事人間。五十も半ばになると役職もつきますし、お給金もそれなりにあります。週休2日でも母親は結婚して30年、ほとんど専業主婦だし、私たち三きょうだいもお金のことで進路を諦めたりしたこともありません。仕事に関しては本当に立派な父親だと思います。
このおじいちゃん営業がどんな職務遍歴を歩んできたのかなんて知らないし流石に興味もありませんが、うちの父親を団塊の世代テンプレート人間だと認識している私にとって、そのおじいちゃん営業の必死さはあまりに哀れすぎました。こう言うと失礼かもしれませんが、もし申込書に『ご契約に至った理由はなんですか』という項目があったら迷わず『その他:営業さんがあまりにかわいそうだったから』と書いたと思います。

どうせ使うつもりもないので断っていた理由としては薬箱が嵩張るというくらいのものです。これでおじいちゃん営業が一時間でも早く家に帰って孫と遊べるのであればそれでいいではないか。幸い引っ越したばかりの我が家にはまだ置き場所を決めなくちゃいけないものがいくつかあります。それに薬箱一つ加わるだけで、おじいちゃん営業が、その奥さんが、お孫ちゃんが笑顔になるのならそれはとてもハッピーなのではないでしょうか。(※注:家族の存在は全て私の妄想です)

了承し、喜んでおじいちゃん営業が書類とうちに置く薬箱を用意する間に私は冷たいお茶を入れ、ついでに我が家では誰も食べない余り物の貰い物のお菓子を出しました。その日曜は確かにとても暑くて、おじいちゃん営業は本気で熱中症になりかねないと思ったからです。そんなの後味が悪すぎます。そんなことなど露知らず、おじいちゃん営業、しみじみ。

「ああ、おいしい。お優しい方ですねえ(目頭をわざとらしく抑えながら)」

いやだってあなたが熱中症がどうとか言うからあ〜〜〜〜〜!!!!!
段々おじいちゃん営業が『ハリーポッター』に出てくる屋敷しもべ妖精ドビー(これはある程度の人に通じると信じたい)に見えてきました。ああお優しいハリー・ポッター

おじいちゃん営業改めドビーが帰ったあと、じわじわと彼の可哀想さに涙が出てきてさめざめ泣いていてると、旦那さんは極めて冷静に「よくずっとそんなこと考えてられるね」と半ば感心していました。
ほんと、私もそう思う。
私がハリーポッター世界線にいて、ホグワーツ生だったらきっと一も二もなくハーマイオニーの主催するS.P.E.W(屋敷しもべ妖精福祉振興協会)の幹部会員とかになっていたと思います。

ホグワーツに思いを馳せながら、あのおじいちゃん営業があの手法で営業所トップのやり手とかだったらもう笑うしかないな……というしょうもない妄想でまだあのドビーのことを考えている私なのでした。



シマヨウコ

理性的な旦那さんのこと

シマヨウコです。
朝予備アラーム(※二人とも寝汚いので早めに設定して覚醒を促しつつ二度寝気分を味わうアラーム)で起きるなり「ヨウコさみしかったね……」と私を抱きしめ「俺がもうちょっとスピードが出ていれば……」などという旦那さんに「な、なんのはなし?」と返したら「おれの夢の話」とだけ答えられ、健やかな二度寝に戻っていきました。

いや、なんのはなし???????

朝から話のスピード感についていけなかった私。
でも朝起きて隣にいて抱きしめてくれるだけで、私はさみしくないですよ。

代わりに時々ゲームに熱中しすぎてリビングで寝落ち、朝起きたら隣にいるはずの旦那さんがおらず、2セット敷いた広々お布団に一人。あなたが隣にいないほうが断然さみしいので、旦那さんにはぜひスピードよりも眠くなったら早めにゲームをやめてお布団まで行く理性を求めている私です。

とはいえ旦那さんは普段から割と理性的なタイプの人間です。本能とノリで動く私よりも「今これをしといたほうが合理的だな」「これが明日に回ると面倒だからちょっと大変だけど今やってしまおう」「しんどいけど痩せたいし毎日ちゃんと筋トレをしよう」という考えからそれをちゃんと実行にうつせる。基本的にめちゃくちゃ理性的で合理主義の人間なのです。(※ゲームと寝起きのときは除く)

だから旦那さんが一番苦手、「やろうことなら相手がヨウコといえども拳や足が出るかわからない」と語る弱点、足(とてもとてもくすぐったく、耐えきれないのだそうです)を戯れにさわさわ触っても、なんだかんだ手や足は絶対に出さず、

「オラ〜〜〜〜〜!!!!!
おれの足はおれが守る!!!!!!!!!!」

というヘロヘロの宣言(くすぐったくて力が抜けてしまっている)とともに、私の弱点である背中(とてもくすぐったく、すぐケラケラ笑ってしまうのです)をなんとも言えぬ脱力感でさわさわ仕返してくるだけです。拳や足は絶対に出てきません。
過去に反射的に拳や足が出てしまったこともあるとの話なので、そういうとき私は「やっぱり旦那くんは理性的でやさしいなあ。でもやっぱりとてもとてもくすぐったくて、すごく我慢してるんだろうなあ。ちょっと悪かったかな」と思うとともに、(もっと足をさわさわしたい……もう一度あのヘロヘロの謎の宣言が聞きたい……)と相反するふたつの思いの中で人知れず葛藤しています。
悪い嫁です。
シマ、反省。

今回はのろけだけ!……と思いましたが、体調のことも少し。

メンタルはいま躁期で仕事もめちゃくちゃ元気に動き回っています。めちゃくちゃ楽しいです。動けば動くだけ成果が出る仕事だと思っているので、とにかく動けるうちに動こうと働いています。そんな私に上司(元医療従事者)は、帰るとき毎日「元気だからってがんばりすぎないでね、明日元気な顔を見れることを楽しみにしてます」と声をかけてくれます。
今だけじゃなくて、明日、明後日のことを考えながら動かないと、今動いた結果も無駄になってしまいますもんね。

本当に周囲に恵まれているなと感じます。

有難い気持ちを持ちつつ、今日も仕事に行くべく理性的な旦那さん(※ゲームと寝起きのときは除く)を起こしています。
旦那さんは起きたくないとき、私をぎゅうぎゅうに抱きしめるという特殊攻撃(身動きを止めるとともに旦那さん大好きマンの私を絆す特殊効果付き)を繰り出し、私を道連れにして、二度寝、三度寝に入ってくるのです。

眠たくてもこの計画性と策略……おそろしい。



シマヨウコ

タイミングのこと

シマヨウコです。
このブログを書いているいま、夜の23時です。
私は今、もやしを佃煮にしています。

新婚ホヤホヤの旦那さんとイチャイチャ♡でもなく、自分磨きのスキンケアタイムでもなく、日本人OLの約8割が一度は挑戦するというヨガでもなく、お布団でごろごろでもなく、月曜日の仕事の準備でもなく、溜まりに溜まったハートが2000個を超え、ともすれば永久にプレイできるツムツムでもなく、まして寝る準備すらせず、23時、お風呂にも浸かったあと、パックをしながら、突如のもやし調理。

私には成人して以降から突然「自分のタイミングでやりたいと思ったことをそのときにやれないとものすごいストレスとなり、イライラや焦燥感、混乱が起きてしまう」ようになりました。
判断力の低下と思考の停止、これは立派な精神疾患の症状の一つですが、知識のない私は一時はADHDなどを疑い、わざわざテストまでしたりしました。ADHDの特徴は殆どなく、平均値から特に大きく外れることもない面白みのないグラフでなんだかガッカリしたものです。どうせならなんか一個の才能に突出していたほうが、なんか、面白いじゃないですか。ゲームのキャラクターのステータスみたいで。(?)(ちなみに私は絶対に後衛タイプの魔法使い系のやつだと思います)(???)

そんなこんなで私は急な予定変更とか、選択肢のない状態で明確な選択を迫られることに、常人がちょっと引くくらいパニックを起こしますし、焦りますし、苛立ちます。

もちろん仕事なんかで指示があったら自分の意志を通すことは無いのですが、優先順位が同じと聞かされていたAとBの仕事があって、Aをやっていたときに「Bを早く仕上げて!」と後から聞かされ急かされるとか、先に予定を伝えていたのにあとから予定を入れられて元の予定をずらす羽目になる、とか仕事にありがちな急な予定変更・対応依頼って結構なストレスです。
私の中の仕事設計図が全部ずれてしまう気がして落ち着かなくなってしまうのです。
でも迷惑はかけたくないし、言われたらそうするしかないこともわかっているのでそうするんですけどね。
そういうときは動悸が大変なことになってしまって、あとからどっと疲れてしまいます。

そのぶんプライベートはかなり自由です。
思い立ったら深夜の1時でも携帯も財布も持たずに片道1時間の道を歩いて散歩したりしますし、日付が変わる直前からひとりで車を走らせ、夜の海でぼーっとしたり、全くの運動音痴なのに突然近所のグラウンドに走りに行ったりします。
希死念慮の薄いタイプの症状だからまだいいものの、周囲は気が気でないですよね。シマもこれでも反省しております。

だから、風呂から上がり、突然夜の23時に冷蔵庫からもやしを取り出し、鍋の中にもやしをぶちまけ、コンロの前に椅子をスタンバイし、黙々と鍋をかき混ぜる様をまるで意に介さずゲームに没入し「こんな時間から何してるの」とか「今からそんなんやらなくていいでしょ」なんて野暮なことを一切言わない旦那さんはほんとに助かります。

私は私のやりたいタイミングでやりたいことをすることが一番健康なのです。
……ときどき身体が脳のゴーサインに追いつかないときもたまに……いやかなり……ありますが……!それは……それとして……でもそんなときは「がんばりすぎじゃない?」って言葉で止めてくれます。そうすると私もそこで初めて自分の疲労に気づけたりします。バーサーカータイプなので自分のダメージを知覚するのが著しく下手なのです。気づいたら死んでる。弁慶のような女です。

もやしの佃煮は30分くらいでできあがり、味見をしてもらうといつもの笑顔でゴーサインが出ました。
その笑顔を見てから寝たかったのかもしれないなって思いながら、おかずの作り置きをたくさん作った自分を褒めて、昨日はその後すぐに寝て、月曜日の朝からこのブログの続きを書いています。

そろそろ仕事の準備をしないと間に合わない時間です。
今日も自分のペースで、ほどほどに。
みなさんも、ほどほどに。

お仕事の人も、学生さんも、そうでない人も、ほどほどに、無理しない一日になりますように。

行ってきます!



シマヨウコ